Fate/Zero 用语辞典
作品名: Fate zero material 用语辞典 作者: TYPE-MOON
アイリスフィール・フォン・アインツベルン【人名】
ユスティーツァ・リズライヒな鋳型として錬成されたホムンクルスの一人。
設計段階から用途を特定され、肉体も精神もその目的に最適化された状態で産み落とされるのがアインツベルンのホムンクルスだが、アイリスフィールについては鋳造された後からイリヤスフィール受胎の計画が発案されたため、特例的に「本来とは違う役割」を兼任させられることとなった。即ちイリヤスフィールの出産のみならず育成までも任されたのである。乳母役のホムンクルスな新造するよりも効率的であろうというユーブスタクハイトの判断だったのだが、これはアインツベルンの基準に照らせば異例のことである。ともあれ結果としてアイリスフィールは、ホムンクルスでありながら人間の女性と同様に子な産み育てるという「母親」として経験を積むこととなった。これが彼女の情操面において、アハト翁が予想だにしたかった影響を及ぼすことになる。
他のアインツベルン製ホムンクルスと比べても、九年の長きに渡って人間と交渉し、多彩で変則的な精神活動を行った個体は過去に例がない。言い方を変えるなら、アイリスフィールほどに人間同等の扱いを受け、人間的な情緒を身につけたホムンクルスはアインツベルンにおいては初だった。もとより心身の機能においては人間をむしろ凄駕する存在だけに、異例の成長を遂げた後もその精神構造は破綻せず、ついには一般的な人間と何ら遜色のない自意識と感情を備えるに至った。
とはいえ、ホムンクルスのフォーマットとして生まれつき持ら合わせている知識と理性がアインツベルン千年の英知の結晶であるのに対し、情動面を育んだ人生経験はたったの九年に過ぎず、結果として彼女は貴婦人としての風雅と幼児的な稚気を兼ね備えるという、ちょっと困ったお姫様になってしまった。
余談ながら、Zeroのプロットが確定した段階では、ホロウにおけるアンリマユの設定をまだ聞かされていなかったんだよなぁと思い返してみると、いったい筆者は〝あの結末″に至るまでをどういう経緯として書く気だったのか、我ながら空恐ろしいことこの上ない。
アドミラブル大戦略Ⅳ【その他】
第2次世界太戦を舞台に枢軸国を操って連合国と戦う超人気ウォーゲームの、シリしズ第4作。副題は「ポルシェ博士の憂鬱」
既にルールの複雑さや難易度において進化の袋小路にあった前作を、さらに参加国、追加ステージ、追加マップで拡張。トリープフリューゲルや報復兵器V3号、クローン総統といった錚々たる追加ユニットによって、もはやウォーゲームの域に留まらないカオスの坩堝と化した名状しがたいゲームバランスを誇り、今も一部マニアの間で根強い人気を請っている。
イスカンダル【サーヴアント】
第4次聖杯戦争におけるライダーのサーヴァント。当初はケイネス・エルメロイ・アーチボルトによって召喚されるはずが、聖遺物を盗んだウェイバー・ベルベットによって召喚され、契約を結ぶ。
原作者によって託された課題は三つ。イスカンダルという真名と、王の軍勢という宝具、そして「セイバーはギルガメッシュやイスカンダルと闘争することで、王としての自分を考え直す」という展開である。
そこでセィバーともギルとも違う王者、という三角測量によって、まずは容姿と性格の方向性が決定され、後は史実のエピソードを、どうやってそっちのベクトルにねじ曲げていくかという作業が課されたわけだが……文献に当たれば当たるほど、アレキサンダー大王の少年ジャンプ的生涯はこちらの予想の斜め上を行き、なんかこちらの希望した方向性と充分近い路線にのっけから居てくださった。数々の強敵に対するリスペクトぶり、為政者ではなく冒険者としての行動原理など、どう見ても原哲夫ワールドの住人としか思えない。っつうか、いつの日か原哲夫先生にアレキサンダー大王を題材として漫画を描いていただきたい。マジで。
戦略そっちのけでトロイア名所観光をおっぽじめたりと、そのイリアスの愛好っぷりは、もはや人類史最初のオタクセレブと呼ぶに相応しい。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン【人名】
アイリスフィールと衛宮切嗣の娘であり、後の第五次聖杯戦争におけるヒロインの一人。――嘘じゃないよ!イリヤルートは皆の心の中にあるんだよ!
Fate本編においてもそれとなく思わせぶりな記述はあったものの、Zeroにおいてその衝撃の年齢設定が至極あっさりと露見した。
ちなみに第五次においてセイバーがイリヤに対し容赦なかったのは、アイリから娘の名前をちゃんと聞いていなかったことと、イリヤの外見年齢がアイリの娘にしては幼すぎること(あれから10年経ってんなら切嗣に肩車されてた子供はムチムチバディになってる筈っしょ、という推察)から、イリヤをアイリとは無縁のアインツベルン謹製ホムンクルスと認識したためである。――苦しいとか言っちゃ駄目なんだからツ。
ヴィマーナ【宝具】
金ピカ鎧に我《オレ》魂。三巻で初めて空を飛ぶ――そんな英雄王閣下の空中機動兵器。水銀を燃料とする太陽水晶によって、太陽エネルギーを発生させ駆動するというエリア51も真っ青のインド発ハイテク宝具。古代インドの神話にはこれ以外にも古代マシンガンから古代核弾頭まで素敵ウェポンが満載だそうだが、きっと英雄王の財宝庫ではフルコンプしてるに違いない。
ウェイバー・ベルベット【人名】
ベルベット家の三代目魔術師。とはいえ初代の祖母はさる魔術師の愛人としてピロートークついでに初歩魔術を習ったにすぎず、二代目の母も「ママの思い出を大事にしよう」程度の覚悟で秘蹟を継承したため、本気で魔道の探求に乗り出したのはウェイバーの代が初で、そのため魔術回路の数も魔術刻印の質も、まったくお粗末極まりない。
母親は魔術師社会のヒエラルキーを鬱陶しく思っていた節があり、息子が本格的な師について魔術の教導を受けることに難色を示していたのだが、ウェイバーが魔術に傾ける愛顧はきわめて強く、ついには両親が病没した途端、家財一式を擲って入学資金を捻出し、裸一貫で時計塔へと乗り込むに至る。――結果、その後に待ち受けていた苦労と挫折は、彼を聖杯戦争などという大博打に訴えさせることになるのだが。
魔術を実践する素養はないものの、研究者としての観察力、洞察力には際立った才能がある。いっそ「魔術はサブカルチャーの一環です!」と言い張って批評家として旗揚げしていたならば一世を風靡できたかもしれないが、さすがにそれは魔術協会から抹殺されること必定であり、彼は別の形で持ち前の才を活かすことになる。
ランナーで喩えるなら、脚力はからきし駄目なのに、理想の走行フォームを思い描くことは出来るようなもの。もちろん選手にはなれないが、コーチとしてはその才覚を遺憾なく発揮できるのだ。
本格的にZeroを執筆する前の初期設定時、ノビー太、キングオブへタレ、ゼロの清涼剤《オアシス》とバカにされていたウェイバー君だが、最終的には主人公かと見間違うほどに成長した。
月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)【魔術】
ロード・エルメロイが駆使する礼装の一つ。魔力を充填した水銀に多鍾多様な行動パターンを記憶させ、状況に応じた最善の反応をとるよう設定したもの。戦闘用ゴーレムの一種と言えなくもない。こと物理エネルギーとしての破壊力においてはケイネスの武装の中でも最強。彼はこれ以外にも呪術戦、幻術戦に特化した礼装を多数用意していたが、切嗣によるホテル爆破によって大多数が失われた。月霊髄液の多機能性は万能兵器と呼ぶに相応しいものの、所詮は自動機械であり、ひとたび行動パターンを見切られてしまうと対処されやすい。また操作に費やす魔力は形態の複雑さに比例するため、なるべく単純な形態を維持する必要があるが、いったん液圧をかけにくい形態に変形してしまうと、次の動作は反応速度、パワーともに著しく劣化する。最後のウニ型変形は防御力と機敏さを両立させうる形態だったが、それに費やすケイネスの魔力負担は相当なものだっただろう。
ちなみに後のエルメロイⅡ世は、この目霊髄液を改良進化させて多機能メイドゴーレムとして使役しているとかいないとか。簡単な家事雑役をこなせる程度の思考力を持つものの、時々自分のことを未来から来た殺人兵器だと主張して暴走する困ったバグがあるらしい。よほど情操教育に有害な映画でも見せたんでしょうか。
雨生龍之介【人名】
第4次聖杯戦争におけるキャスターのマスター。
明朗快活。他人の心情の機微をよく読みつつも細かいことには拘らず、常にポジティブで建設的。失敗にめげることもなく、持ち前の探求心と好奇心の旺盛さで人生を精一杯に楽しむ好青年。――ただし趣味は拷問、殺人、死体遺棄。
べつだん幼少期に性格を歪ませるようなトラウマがあったわけでもなく、彼の悪性は言峰綺礼のそれと同様、もはや持って生まれたものと言うはかない。綺礼のように既存の道徳観念を植え付けられることもなかった龍之介は、自らの欲求を満たすことに何の躊躇も忌避も懐かなかった。
キャスターを召喚する以前で既に42人もの人間を殺害しておきながら、龍之介はただの一度として容疑者の線上にすら上がったことなく、警察の捜索はすべて迷宮入りのまま、一部についてはそもそも殺人事件として立件すらされていない。計画性など皆無な快楽殺人鬼でありながら、証拠隠滅と捜査撹乱の手際は卓越したものがあり、プロの暗殺者として旗揚げしていれば伝説的存在になれたかもしれない逸材である。だが当人は趣味と実益に一線を引く主義だったため、犠牲者の金品にも一切手をつけず、平素は地味なバイトを転々として生計を立てていた。
動物愛好家でサファリパークとか自然科学系の特番とかが大好き。ただし残虐行為の対象として愛でるのはヒト科ヒト目に限られるらしい。鮫とか肉食獣とかに憧れはしても、生まれ変わりたいとまでは思っていない。何故なら人間を狩る上で最も巧みなハンターは、同じ人間だからである。
衛宮切嗣【人名】
Zeroのプロローグとエピローグを占める、一応の主人公。
目的のために手段を選ばない、という言葉の体現者。世界平和を願う夢想家でありながら、その実現においては冷酷非情のリアリスト。あらゆる人間を愛しつつ、あらゆる人間を殺す覚悟を決めた男。その心に葛藤はなく、なのに悲しみを捨てきれない。
魔術を完全に道具として割り切り、近代科学で置換できる手段はすべてハイテク頼りを旨とするマジカル007。いっそ素敵装備満載の切嗣カーとかで暴れまくってほしかったところだが、考えてみたらセイバーに乗らせたV‐MAXがそういう位置づはだったのかもしれない。
かつて一人の少年が〝正義の味方〝として憧れた人物だったが、当人はその憧れを、ごく初期の段階で喪失し、ついには正義というものを呪うようにまでなりながらも、そこに至るまでの犠牲を無駄にしたくないという一心から深みに嵌っていった。そんな後ろ向きな態度ゆえ、同姓の英霊に比べれば『正義の味方』としての〝格″は多いに劣る。むしろいっそ本人にもう少し悪のカリスマ的ラスボス属性があれば大成したかもしれない人物なのだが、結局のところ、平和な安らぎの中で家族と過ごした場面こそが、彼の本当の素顔なのだろう。人生のあらゆる局面において、エロゲ主人公もかくやというばかりのモテ粒子を発散し、なおかつそれに惹きつけられた女性を悉く不幸な末路に追いやっているという呪いのような男。彼のもたらすジンクスを打ち破った女性は、かの冬木の虎ただ一人である。すげー藤ねえチョーすげー。
その享年から逆算するに、修羅の全盛期はハイティーン時代となってしまうのだが、そこはまぁ、ほら。八頭大とか相良宗介とか、世に豪傑は大勢いるわけで。
衛宮矩賢【人名】
衛宮切嗣の父。体内、あるいは小因果の時間操作に特化した家伝の魔術を、4代目という比較的浅い世代において封印指定の域にまで昇華させた天才。
20年以上に渉って魔術協会の追跡をかわし続け、最後は南国の小さな島に身を潜めていた。彼の妻もまた魔術協会からの追っ手によって命を落としているのだが、その経緯は、当時生まれて間もない切嗣の記憶にはない。
世界によって干渉されない固有結界の内側において時間の流れを加速あるいは停滞させるのが衛宮家の魔術だが、矩賢はこれを突き詰め、抵抗がほぼゼロに等しくなるは、ど極小まで縮めた結界の中で、時間流を無限に加速させ、宇宙の終烏を観測することでその先にあるはずの『根源』に至ろうと企んでいた。埋論そのものはかなり有望だったのだが、実験を完遂するためには数百年の期間が必要とされ、やむなく彼は寿命の問題を解決するべく死徒化の手段を模索しはじめる。
その結果もたらされた惨劇は、Zero4巻の冒頭に描かれた通り。
キャレコM950【武装】
衛宮切嗣が聖杯戦争で使用した予備武装。さすがに狙撃銃とコンテンダーだはじゃサバゲーだって出来ません。
ヘリカルマガジンという特殊構造によって弾倉に50発を装填できるのが特徴なのだが、これが無駄に重いわ撃ってるうちに重心変わってしまうわで、どう考えても普通のサブマシンガンに30連弾倉を2本持ち歩いた方が実用的と思われる……でもまぁ、ほら、切嗣さんはマジカル不思議ガンマンなので。
実際、ラストバトルで綺礼の牽制に使った際、普通なら3秒しか足止めできないところを、5秒問も時間を稼ぐことが出来た。2秒増しのアドバンテージは、キャレコのヘリカルマガジンの面目躍如といったところであろう。……うん、やっぱり微妙だ。
ちなみに切嗣は魔術師として異端であるのと同程度にガンマンとしても異端なキャラにしたいという意図があったため、彼の銃器のチョイスは作者的に敢えて実用性ではなくエキセントリックなゲテモノ度合いを重視させていただいた。なのでくれぐれも、Fate/Zeroに登場する銃器が戦場のプロの定番だなどとは思わないで戴きたい。
ギルガメッシュ【サーヴアント】
第四次聖杯戦争におけるアーチャーのサーヴァント。遠坂時臣によって召喚されるが、後にマスターを見放し、言峰綺礼と再契約を果たす。本編及びZeroを通じての最強キャラ。詳しくは元祖マテリアル本を参照。ボーイミーツガールなFate本編に於いては「必ず最後に愛は勝つ」な宇宙の法則に膝を屈するが、Zeroにおいてはそのチート的最強を遺憾なく発揮する。これで真面目に聖杯を追い求めてくれたなら本当に聖杯戦争は一夜で終了していただろうが、油断慢心は王気の一部。たかが願望機ごときにマジになるなど大人気ないという王の沽券は断じて譲れないものである。そういった短所も鑑みれば、いちおう戦力のバランスは成り立っていたともいえる……のか? Zeroのラストで見事にアンリマユへの吸収を脱しておきながら、本編の桜ルートであのような末路を辿ったのは、女子が見ている前でネイキッドかますのが気が引けたから――ではなく、本体と切り離された状態だった「泥」と、本体に繋がったままの「影」との威力の差によるものであろう。
ギネヴィア【人名】
アルトリアと同盟を結び後援者となったレオデグランス王の娘。ブリテンに王国としての体裁をもたらすため、アルトリアと婚礼を上げる。
アルトリアを敬愛し、憧憬し、その生き方に倣おうとしながらも、それを貴き適すにはあまりにも『普通の女性』すぎた。
おそらく魂の在り方として眼鏡ッ娘。でも「外すと美人」のステレオタイプ。
当時の英雄の在り方として、自らを省みない人生観を幼い頃から培ってきた彼女には、自らが女性だという意識も、そもそも男女の性差の認識すらなく、王と王妃の関係も理想のみで成り立つものと確信していた。理念の尊さだけが人間を結びつけるものだと信じ込んでいた彼女は、まさかそれ以外に人と人とを惹きつけ合うモノがあるなどとは想像だにしなかったのだ。――サー・ランスロットと出会うまでは。
以後、ギネヴィアは信念のツンと魂のデレの波状攻撃によって、彼女白身とランスロットの双方を窮地へと追い込んでいく。まさに命を賭けた乱世のツンデレ。まったくキャメロットは地獄だぜフゥ~ハハハ。
グレン・マッケンジー【人名】
ウェイバーに催眠暗示をかはられ、冬木における寄宿先として利用される老人。オーストラリア出身の七二歳。
若かりし頃、遣り手の商社マンとして家族を連れて日本に赴任してきたが、あまりにも冬木の風土を気に入りすぎてしまい永住を決意。脱サラして貿易商を立ち上げる。経営手腕は堅実ではあったものの、商売人として大成するには欲のなさ過ぎた人物で、以来四○年、大穴も当てず倒産もせず、とりあえず老後の蓄えが出来た時点で会社を人手宣譲り、今では英会話学校の非常勤講師などやりながら、つつましく安穏と暮らしている。赴任当時に小学生だった息子のクリスも、それなりに日本暮らしには馴染んでいたのだが、自らのルーツへの愛着を捨てられず、自分の子供はオーストラリアで教育したいと望んでいた。結局、孫が生まれて間もなくクリスの一家はトロントに再移住。グレン夫婦との交流も次第に疎遠になり、今でほほとんど音信不通も同然となっている。
グロッグ【武装】
久宇舞弥がサイドアームとして携行する拳銃。型番までは明記しなかったが筆者の脳内的に多分きっとモデル19。
切嗣が用意したとは思えない真っ当な銃なので、おそらく舞弥の個人的な選定なのだろう。
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト【人名】
学生時代から神童と謳われるほどの才能の閃きを見せ、降霊学科では最年少で講師の座に着く。学究の才能ばかりでなく政治的手腕も巧みで、家門の良さ故に有力なコネも大勢。ゆくゆくは時計塔内の最大派閥を形成するものと嘱望されていた。
彼が聖杯戦争に参加する理由には必ずしも切迫したものがあったわはではなく、自らの経歴の中に「武功」として評価される逸話も欲しくなった、という程度のものでしかない。『始まりの御三家』の必死ぶりを侮っていたわはではなかろうが、それを才覚のみて圧倒できてこそのロード・エルメロイ、という自負があったのだろう。
どちらかといえば研究畑の人間だったにもかかわらず、おそろしく剣呑な礼装を準備していたのは、単純に趣味の産物である。彼は降霊術のみなら、ず様々なジャンルの魔術で才能を見せ、その出鱈目な多才ぶりは平賀源内か曹操か、という有様であった。
英霊を使役するサーヴァントという存在すらも、彼にとっては数ある礼装の一つ、程度の認識でしかなかったのだろう。英霊の人格というものを認める気が毛頭なかったが故に、ディルムッドの忠義に打しても最後まで理解を示すことができず、結果として自滅も同然の敗退を遂げる。
とはいえ実のところディルムッドも、マスターとして自分の忠義を受け正めてくれる相手なら誰でも良かった節があり、ケイネスその人の人柄と向き合っての相互埋解を怠っていたのは事実である。もし板にディルムッドが、ケイネスの才能と経歴にメロメロになるほど感服した上で忠誠を誓っていたならば、ケイネスとてもうちょっと柔らかい接し方をしたんじゃなかろうか。
まあ、サーヴァントと信頼関係を築けなかったことは、ケイネスにとって二番目の不運に過ぎず、ブッチギリに一番の不運は、衛宮切嗣と巡り会ってしまったことに尽きる。魔術師としての位階は切嗣よりはるかに勝りながらも、殺人者としては切嗣に及ぶべくもなく、聖杯戦争という殺し合いにおいての敗退は必定であった。ケイネスの突然の死によって、彼が時計塔において積み重ねてきた多くの貴重な研究は未整理のまま放置され、あやうくその成果は散逸してしまうところだったのだが、いちばん無能だった一人の元弟子が、『魔術の実践はからきしなのに、理論の再解釈と系統分類は天才的』という妙な才覚を持ち合わせていたことで、最終的には『ロード・ケイネス秘術大全』という一冊の魔道書として編纂され、すべての秘術はアーチボルト家の管理上へと戻されて、後の家門の繁栄を盤石のものとした。
ちなみに第4次聖杯戦争におけるランサーチームの必勝パターンは……
・サーブァントに戦場の誉れとか騎士の誇りだとかを意識させない。聖杯戦争は汚れ仕事の処理業務だと常に諦観させておく。
・前述の条件を満たすために、セィバーとの接触は極力避けること。
・戦闘においては常に退路の碓保を最優先し、ゲイボウを一撃当てたら目的達成とみなし撤退する。これを繰り返し、各敵対チームの消耗を待つ。
・バーサーカーチームを活用する。他サーヴァントに対しては強敵でありながらランサーだけが相性関係で優位に立てる相手なので、可能であればバーサーカーを最終局面まで生存させて他チームの殲滅を任せ、しかる後に討ち取るのが望ましい。
コトネ【人名】
凛のクラスメイトで、ジルと龍之介により拉致され、まぁその、ゴニョゴニョな運命を辿る少女。
第一稿においては何の考えもなく「サツキ」という名称が与えられていたが、原作者から鉄拳制裁くらう
まで、筆者はさっちんの本名を忘れていた――つうか、さっちんに本名があることすら失念してますた。
全国の弓塚さつきファンの皆様に謹んでお詫び申し上げまする。
茸「藤淵……もう少し、手心というものを……」
虚「(被虐対象は)サツキでなければ萌えませぬ」
なんて会話があったとかなかったか。
言峰綺礼【人名】
Fate/Zeroにおはるもう一人の主人公。そもそもZeroという企画の発端は、かつての初回特典サイマテ本でなぜか切嗣の隣に載っていたヤング綺礼の短髪&イヤリングに胸キュンしてしまったが故の暴走である。
本編の綺礼から悟りと余裕を剥奪し、迷いと葛藤を付加したキャラクター。Zeroにおける彼は自らを内省するにあたって、かなり過去の記憶や事実関係をねじ曲げて語っているため、(奥さんに関する記憶などはその最たるもの)10年後の達観した自己分析の方が、自らの内面を語る上ではより的を射ている。第一稿においては筆者が旧設定の身長を意識しすぎて、やたら「巨漢」「デカイ」「雲を衝くうよな」という描写が連発し、これ綺礼のイメージじゃないよねぇ、というタイプムーン首脳会議の結果、さりげなく身長設定の方が変更される結果となった。
八極拳はもともと父の璃正から精神修養の一環として教わっていただけだったのだが、代行者時代に血みどろの経験を積むうち、次第に綺礼我流の人体破壊術として歪んだ形に昇華してしまった。もちろん綺礼が理想型としていた父の功夫とは程遠く、そんなところも若かりし頃は自分を許せずにいたらしい。
言峰璃正【人名】
言峰綺礼の父親。聖堂教会、第八秘蹟会の司祭。
聖堂教会が初めて介入した第三次聖杯戦争より監督役としての任を負い、前回でも冬木での戦いを見守った。そこで時臣の父である当時の遠坂頭首と友誼を結び、以来、遠坂家と深い開わりを持ち
続ける。
苦行によって悟りを得ようとした修道士であり、諸国に散った聖遺物の回収を巡礼の試練として自らに課し、世界中を巡り歩いた過去を持つ。八極拳の達人であり、綺礼に拳法の手ほどきをしたの
も彼。実際、こと拳法の腕前においてはあの綺礼をも凌駕する。それってどんなバケモノですかと問うならば、あの逞しきマス・オーヤマ体型から色々と察していただきたい。キャラクター、デザイ
ンにおけるコンセプトは「老いたセガール」だったりする。
ただし璃正の拳は自己鍛錬と求道のために積み上げられた功夫であり、そもそも「代行者」ではない彼には戦闘行為そのものを目的とした殺人術の心得はない。よって死徒やら何やらと殴り合って
きた修羅場の数では、息子の綺礼の方がより凄惨である。もちろん魔術とも無縁であり、綺礼のような肉体強化によるマジカル拳法を揮うわはでもない――が、綺礼の目から見れば「正調の八極拳
」という意味では父親の方が拳士として格上であるという認識だったのだろう。ただの殺人拳ではない、その先の領域を求めて功を積み、到達した老人であった。
まあそんな有り難い経歴は劇中で微塵も語られることなく、いきなり鉛弾一発で退場してしまうわけですが。
きっと彼も若かりし頃の第三次聖杯戦争では、色々と凄かったんじゃないかな。うん。
サー・ランスロット【サーヴアント】
円卓の騎士の中でも最強と謳われた『湖の騎士』
王妃ギネヴィアとの不倫の恋がキャメロットを破滅にまで導いた、まさしくアーサー王伝説の負の象徴たる人物。
ギネヴィアを巡る葛藤で狂気に陥ったことも多々あり、バーサーカーのクラスとはそれなりに相性が良い。色々な意味で無理して頑張りすぎた人。
数々の才能と素質においてハイスペックどころか厨スペックを生まれ持っておきながら、その全てが彼の葛藤を打破する上で何の役にも立たなかったというのは、同情の念を抱きつつも「できるイ
ケメンのくせしてナニ勝ち組に背ェ向けて悲劇ぶってんだコラ舐めてんのか?」とドス黒い感情を禁じ得ない。だがそんな否モテ思考をクラスの女子たちは「嫌だわ~嫉妬だわ~キモッ!」と白眼
視しつつ「きゃーランス様カッコイイ!」と黄色い声を張り上げるのであった。……ごめん話が大きく逸れた。
いっそアーサー王とは夕陽の砂浜で気が済むまで殴り合いでもしていれば数々の悲劇が回避できた……かどうかは定かでないが、ランスロットの性格でほどう転んでもそんなこと出来なかったこと
だけは事実。そんな自分を変えたいと一念発起で往化してみたはいいものの、今度は逆に生真面目すぎるアルトリアに余計な誤解をさせてしまう結果となったわけで、さしずめランスロットの持つ
起源は『傍迷惑』とでもいったところだろうか。
シャーレイ【人名】
衛宮矩賢が隠遁先として選んだアリマゴ島の住人。小学校すらなく、伝道所の神父から読み書きを教わるのみ、という劣悪な教育環境で育ちながらも、有り余る知的好奇心に突き動かされ、通信教
育だけで13歳のうちに修士課程まで獲得してしまった天才少女。その才能に日をつけた矩賢により助手として起用され、アリマゴ島における衛官父子の生活の雑事全般を引き受けていた。
矩賢による教導は弟子入り示しいうほどの本格的なものではなく、あくまで基礎中の基礎の知識を伝えるのみだった。むしろただ単に矩賢が、魔術師という正体を隠すことなく少女と接していた、
という程度のものでしかないのだが、それでもシャーレイの持ち前の知識欲は、驚くべきペースで矩賢の言葉を吸収し、矩賢としても彼女の才能にはそれなりめ期待を懐いていた節がある。だが「好奇心は猫をも殺す」の諺通り、最後にはその並外れた探求心が悲劇をもたらすことになる。
色気づいて間もない少年切嗣の初恋の女性。晩年の切嗣が出会った剣道少女は、どこかシャーレイに面影が似ていたらしく、ちょっと必要以上に甘やかしてしまったとか何とか。
ジル・ド・レエ【サーヴァント】
15世紀フランスの貴族。フランス元帥としてジャンヌ・ダルクとともに百年戦争を終結させ、救国の英雄と讃えられた。が、自らのl領地に戻ってからは、近隣の少年を次々と持致しては陵辱・惨殺す
るという所行を繰り返し、一転して『青髭』の異名で恐れられるようになる。
ただし当時の一般常識に照らして言えば、そもそも貴族が平民の人権について理解を示すこと自体が希であり、領主が領民を家畜同然に扱うのは当然。たとえ虐殺したとしても犬猫の虐待とそう変
わらない程度の非道としか見なされなかった。ジルの不幸は、当時の彼の所領の総資産がブルターニュ公のそれを遥かに凌駕する規模のものであり、国王にすら脅威と見なされるものだった点であ
る。なおかつ私生活における極度の浪費癖から、ジルの財政そのものは完全に破綻しており、ともすれば領土を敵国に売り渡す可能性すら危惧されていた。結果、その領地を没収する口実としてジ
ルは平素の悪行を断罪され、処刑されることになる。
ジルと魔術との接点は、財政難を賄うための金策として始めた錬金術が、迷走の末に悪魔召喚に至ったという世知辛い経緯によるものであり、たしかにジル自身も儀式に参加はしたが、真に魔術師
と呼ぶべきは彼の友人であり導師であったフランソワ・プレラーティの方で、ジルはあくまでそのパトロンに過ぎなかった。本来であればジルはキャスターのクラスに適合する英霊ではない。という
か厳密には正しい意味での英霊ですらない。雨生龍之介による似非儀式が召喚魔術として成立してしまったのは、実際のところ事故も同然であり、キャスター=ジル・ド・レェという存在は、言うな
ればアサシン=佐々木小次郎と同程度にイレギュラーなサーヴァントである。
ステアーAUG【武装】
久宇舞弥が使用した突撃銃。切嗣陣営が用意した銃器の中では一番マシな部類に入ると思われる。
ブルバップラィフルの開祖的存在であり、発表当初はどう見てもゲテモノとしか思えない代物として扱われてきたが、後発のブルバップ銃より高い詳価を受けつつ今なお各国の軍用正式採用銃とし
て活躍しているのは本当に凄い。分解の容易なモジュール構造も特徴のひとつだが、そこが映画業界では「暗殺者が狙撃現場でライフルを組み立てる」という元祖ジャッカル的シチュエーションの
演出に良しとされたのか、銀幕ではやたらと段し屋御用達の「スナイパーライフル」として誤解されがら。まぁ絵面として秘密兵器っぽいハッタリが炸裂する外観の銃だし、気持ちは解らなくもな
いが。
……あ、そういや舞弥もケイネスのホテルを狙撃しようとしてたっけ。
スーパー八極拳【その他】
Fate/Zeroは衛宮切嗣と言峰綺礼の物語であるからして、ラストのクライマックスバトルは当然この二人のガナンコとならざるを得なかったわけだが、当初確定していた設定において、切嗣は銃器を
使用、固有時制御なる魔術を駆使し、かつ後の展開を鑑みればアヴァロンも装備していた筈で、対する綺礼はといえば黒鍵ぐらいしか武装のネタがなく、しばし筆者は頭を抱えるほかなからた。
そうだ八極拳。八極拳しかねー。でもどうなのさそれ?
Zero2巻でついに綺礼の戦闘、シーシを書かざるを得なくなるに至り、まずは初心に返って笑傲江湖を読み返し、ブルースでジェットなリーやトニーのジャーによる自己洗脳・自己啓発を繰り返した
結果、「カンフーすごい。超すごい」という悟りの境地へと到達。あとは冷静な思考を取り戻す前に一気に書き上げることで、VSアイリ&舞弥のシーンを何とか乗り切ったのであった。
ちなみに冬木市民会館のラストバトル執筆に及んでは、さらに少林寺三十六房と風雲ストームライダーズが洗脳レシヒに加わったとか。
そんな次第で、綺礼の八極拳の出鱈目さ加減については、いかに突っ込まれようとも筆者、ただバルディオスのエンディングテーマを口ずさむばかりである。
聖杯の器【その他】
四度目に用意された聖杯降臨のための憑代となる器は、それそのものに自衛のための自我とアインツベルン家への帰属意識を植え付はて、器の争奪戦を優位に運ぼうという発想のもとに作られた。
ホムンクルスとしての肉体は行機物に違いないが、その内臓に無機物の聖杯が分解された状態で血合しているのがアイリスフィールである。
その所有権が勝判条件のひとつとなる器を、勝手に自分たちの戦力となる駒として改造してしまったわけだから、卑怯極まるチート行為ではあるのだが、そもそもアインツベルンの義務は「器の役目を果たすものを冬木に持ち込む」ことだけなので、これはぺつたん白眼視されるはどの逸脱ではない。所持品を奪うか、殺して死体を持ち去るかの違いは、聖杯戦争において大した落差ではないのである。
聖杯問答【その他】
Zero2巻のオビにまで煽られたセイバー、ギル、イスカンダルによる三つ巴対決の正体。飲み会の名を借りた真剣英霊しゃべり場。果たして真剣だったのかどうだか傍目には微妙な人もいるにはいたが、いやいや、三者三様それなりに真剣だったのですよ?
このエピソードについては最初期段階の企画書から構想があった。何故って、王様連中はどいつもこいつも宝具とかアレすぎて、戦いを通じて解り合うには致命的なまでに破壊力絶大すぎたがら。
――いやまて、これだとギル様とセイバーの馴れ初めは合コンだったという結論になるのか?
セイバー【サーヴアント】
FateをFateたらしめるシンボル的存在。ただしZeroにおいてはヒロインに非ず。まだ王様としての殻に罅が入ってない彼女の在り方はむしろヒーローのそれである。
放置プレイに触手プレイ、ストーカー被害、視姦され、酔っぱらいに説教され、名誉毀損され、あげく闇討ちを仕掛けてきた不埒者が朋友のはずの腹心だったと判明するなど、もはやZeroは彼女の受難エピソードだけで構成されていると言っても過言ではない。だがそれもこれも、すべては一○年後に士郎の、ご飯を美味しく食べてもらうためなのだと――いつも無言で執筆を見守ってくれるセイバーメイドVerフィギアに、そう詫び倒しながら書き進める毎日でした。もしあれが私服Verだったら間違いなく挫折してたね俺。店頭で見かけた時ですら、「俺ァこんな可憐な少女を虐め倒しているのかッ!」と自らの醜さに膝を折りそうになった程である。
スーツは当初、なんとなくタキシードを想定していたのだが、いざ絵に描いてもらうと男装っぽい男装にならず、現行のオーソドックスなダークスーツに落ち着いた。よくよく考えてみれば、地方都市のひなびた夜をパーティドレスでうろつき歩くなんてのは羞恥プレイも甚だしいわけで、正解であったと思う。
ソラウ・ヌアザレ・ソフィアリ【人名】
魔術協会において隠然たる勢力を諮る名門ヌァザレ家の娘。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの婚約者。
通常、一子相伝を原則とする魔道の家門は、嫡子以外には魔道の存在そのものすら秘匿するのが通例だが、ソラウの誕生当時、ヌァザレ家はかなり不穏な権力闘争の最中にあり、嫡子を暗殺されるのではないかというパラノイアに取り憑かれていた。そこで対策として、ヌァザレは兄妹の双方に魔術の初歩教練を施し、いずれ魔術刻印を移植する段になって生存していた方を後継者とする方針を取った。
ところが、結果的に兄妹双方ともに息災のまま闘争は終結し、魔術刻印と嫡子の地位はソラウの兄へと与えられる。事実上の用済みとなり、存在そのものすら否定された形のソーフウだったが、魔術師としての優秀な肉体的遺伝形質と、幼少期に叩き込まれた基礎魔術の素養は、一流魔術師に助手として奉仕するに足るだけのものがあり、そこも含めた「商品価値」として、彼女は政略結婚の道具とされる。
その扱いにソラウが不満を懐いたわけではない。そもそも好悪という感情の何たるかすらソラウには理解できないものだった。たしかに彼女は気難しい我が儘で周囲を翻弄し続けてきたが、それは自らの貴人としての価値を高く保つための態度として幼少期から刷り込まれた処世術であり、ソラウが心の底から何かを欲したり希望を懐いたりしたことは、生まれてこのかた一度もなかったのである。
故に、ディルムッドの魔貌による魅惑が、慕情として正しいものかどうかなど、ソラウにとって問題ではなかった。彼女にとっては、心の奥底から湧き上がる激情という感覚こそが、生まれて初めて手にした至宝であり、人生の価伯とすべきモノだったのだ。
……という設定を聞いた奈須きのこが「ワタクシの萌えポイントにドストライクでございます」とのたうち回ったとかなんとか。
ちびアサシン【その他】
Zero2~3巻における没プロット。百の貌のハサンの中の一人格として構想されていた薄幸ロリの和みキャラ。会話能力の欠落した幼女で、記憶を持たず、自らがハサン・サッ、、バーハの一部であるという自覚もない。かつて生前の百の貌のハサンが敵に捕縛され尋問拷問を受ける際には、この人格を表層化させて秘密を守り適していた。
ジルの工房をライダー組が襲撃した際、斬り伏せられたハサンの人格からこの子だけが分離脱出し、それをウェイバーは「龍之介によかって拉致され、記憶障害をきたした犠牲者の子供」と勘違いをし、自らの保護下に置く。イスカンダルも、内心では少女をサーヴアントと知りつつもウェイバーの義心を立てて、結里マッケンジー家にまた一人疑似家族が増えるものの、3巻でその存在を知った綺礼の令呪により少女はハサンとしての記憶を取り戻し、悲しい離別劇を経て、ウェイバーはまた一歩大人への階段を上る……なんてな構想だったのだが、これでは一体誰がZeroの、主人公なのやら益々わからねー!という判断からお蔵入りの憂き目となり、既に書き終えられていた工房襲撃エピソードだけが残る形となった。
ディルムッド・オディナ【サーヴアント】
第4次聖杯戦争におけるランサーのサーヴァント。ケイネス・エルメロイ・アーチボルトに召喚され契約する。ケルト神話に語り継がれるフィオナ騎士団の英雄。彼とブラニア姫との悲恋の物語は、後のランスロットとギネヴィアの物語のモデルになったともされている。そりゃ~4thパーサーカーが苦手とするのも無理はない。
魔力の効果を瞬間的に無効化する破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)、いかなる手段でも回復不可能な呪いの傷を負わせる必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)という二倍の宝具を操る。
基本能力はさほど高くはないが、優位に立った敵の足許を掬う戦術に長けたサーヴァント。とりわけ宝具能力を頼みとする英霊にとっては天敵とも言える。戦略の立て方次第では、確実に第四次聖杯戦争を征していた(もしくはアサシン相手にあっさり不覚をとっていた)と思われる。
第四次でマスターに恵まれなかったサーヴァント第二位。もっとも最初に戦ったのがセイバーでなければ、まだしも多少は従容にマスターの意向を汲んだ戦い方をしていたかもしれない。彼の胸に眠っていた騎士道精神に火を点けてしまったのは、セイバーのあまりに清澄すぎる器量であったのだ。
今回、ランサーのクラスを得たディルムッドは、魔槍ゲイ・ジャルグとゲイ・ボウを携える槍兵として具現化したが、彼の伝承にはモラルタ、ベガルタという2本の魔剣も語り継がれており、セイバーのクラスで召喚される可能性も充分にあった。むしろケイネスはそちらを期待していたのかもしれない。
遠坂葵【人名】
遠坂時臣の妻であり、凛と桜の母。旧姓は禅城。
数世代前に魔術師の先祖を持つ禅城家は、今でこそ魔道とは無縁の平民だが、その血に流れる魔術の因子には特筆すべきものがあった。そこに目をつけた遠坂時臣の求愛に応えた結果、葵は途方もない魔術的素養を備えた二姉妹を産み落とすことになる。
娘の凛と違い、時臣が非人間的な価値観の持ち主であることを充分に理解していた上で、なおも夫を盲愛していた葵という女性は、やはり時臣と同様に大きな歪みを抱えた人物だったのかもしれない。たぶん雁夜と結ばれていても幸せな家庭は作れなかったんじゃ……
ちなみに時臣の遠坂うっかりエフェクトが発動するのは、本当に命に関わるほど重大な局面であって、普段の家庭における彼はまさに非の打ち所のない完璧超人だった。後日の穂村原における凛の優等生ぶりを、時臣は家族との日常生活において発揮していたのである。そんなダディのクールっぷりに凛と葵は連日メロメロであったとさ。
遠坂桜【人名】
Zeroの劇中に登場する時点では既に間桐桜となっているわけだが、せっかくだからこっちの姓で。なんか字面だはたと遠山桜みたいで勇ましい……
出番は序盤と終盤に二度あるだけなのだが、その間ず~~~っと轟貢め児ポ法発禁地獄に苛まれていたかと思うと、やっぽりZeroでも悲惨指数はこの娘が一等賞なのかもしれない。筆者が執筆の真っ最中に、キャラマテ木に幼少時代の桜の愛くるしいイラストが掲載され、「ああ、こんな子が凄烈虐待されまくってる世界を俺は今書いているのだな」と思うと、とてもとても精神的に堪えました。酷いよ武内さん!もっと虐めて!
雁夜との死別シーンは、第一稿プロットではあまりにも極悪非道すぎて「テメェの血は何色だ!?」と原作者ストップがかかった数少ない場面の一つ。結果、桜のモノローグはとてもマイルドな風味に落ち着きました。……あんなのでも。いやホントに。
遠坂時臣【人名】
遠坂家五代目頭首。全てが順当であったなら聖杯戦争を終結させたであろう男。
第四次聖杯戦争より以前のかなり早い段階から下準備を費やし、万全の態勢で事に及んだものの、腹心と恃んだ言峰綺礼の造反によってあえなく脱落。ただし綺礼を唆した大元は時臣の契約したアーチャーであるだはに、結局はサーヴァントとの相性問題が敗因と言えるのかもしれない。
時臣とその先代は、霊脈上の要所として権利を押さえてあった地所を、積極的に商業用地として転用させたため、そのことごとくが「なぜか金運に恵まれて事業を成功させ、遠坂家に莫大なテナント料をもたらした。もちろん時臣としては、彼ら「遠坂の土地を耕す小作人たち」の収穫は、行き届いた霊脈管理によって悪運や災難、霊障の類から保護されていればこその恵みであり、当然の権利として租税を徴収していたにすぎない。まさに魔術あってこそ成立する二○世紀末の封建制度であり、他の土地のセカンドオーナーでも、ここまで金銭的な利潤を生み出した者はそう多くない。
それらの権益は、時臣の死後葵に相続され、さらに葵の死後に凛へと相続される段になって、後見人である綺礼が実に愚直かつ大雑把な管理をしてくれたため、実入りのいい物件は大方が他人の手に渡ってしまった。たぶん清貧を旨とする神父としては教育上宜しくないとでも思ったのだろう。凛は二重の意味で言峰神父に報復ぽんちをしていいと思う。
遠坂凛【人名】
遠坂時臣の長女。Fate本編のヒロインの幼き日の姿である。
10年前における凛の『聖杯戦争』に対する理解度は、第五次における士郎の認識とはば同程度。つまり解っているようでいて解っていない。
幼い凛にとって父、時臣は敬愛すべき偉大なる魔術師であり、その理念からくる冷酷さといった、彼の人格の負の側面を理解するまでには至っていない。
もし、彼女が本当に父親の人間性を理解できる頃になるまで時臣が存命であったなら、凛の人格形成にはさぞかし深刻な影響を及ぼしただろう。その非人間性に反発して魔道そのものに背を向けていたか、あるいは父と同じ『完璧にして酷薄』な魔女として完成していたか――いずれにせよ、凛にとって幸福とは程遠い平行世界には違いない。
トンプソンセンターアームズ・コンテンダー【武装】
衛宮切嗣が礼装として使用するカスタム銃。もともと競技用/狩猟用に開発された単発拳銃で、銃身の交換によって多種多様な口径の弾丸を使用できる。切嗣はこれに魔術的行程で鍛造した手製の銃身を装着し、彼自身の肋皆を封入した特殊弾を使用して、魔術師に対する致命的な攻撃手段としている――云々の詳細は二巻にこれでもかというほどクドく解説してるんでそっちを参照されたし。
この銃こそ、元を質せば、筆者がFate/Zeroなどという与太を飛ばしはじめた契機ともなったネタであり、すべての始まりとも言える。さらに与太話のそのまた発端は『ハード・ターゲット』のランス・ヘンリクセンが格好良すぎた件に尽きるわけで、何が言いたいのかというとジョン・ウー先生ありがとうストラングルホールド超楽しかったです。ところで赤壁の戦いでもハトは飛ぶんでしょうか。
ナタリア・カミンスキー【人名】
一匹狼の魔術師ハンター。魔術協会には属さず、協会専属の執行者に先んじて獲物を横取りしては、高値で転売するというあくどい商売を流儀としていた。『封印指定執行者』などという大袈裟な肩書きを名乗ってはいるが、正真正銘の封印指定なんてものは非常に希有な存在であり、そういう『大物』を執行者が探し当てるチャンスというのは10年に一度あるかどうかも疑わしい。とりわけ外注フリーランスともなると、もっぱら日々の糧となるのは、ただ協会の規範を逸れたというだけの外道魔術師ばかりである。
数代前の先祖にサキュバスを持つ半妖の血筋で、不老や再生能力こそないが人並み外れた運動神経を誇り、また吸精による貯蔵魔力のブーストといった特殊能力も備えていた。
荒稼ぎのためには手段を選ばない金の亡者でありながら、宵越しの金を残さない豪快な快楽主義者でもあり、多感な年頃の男の子にはかなり倫理面で問題のある保護者だった。ヤング切嗣に度重なるセクハラを仕掛けておきながら、決して精を食らうことをしなかったのは、ちょっぴり本気な恋慕の情があった故で、そんな乙女心を秘め持った姐さんでもあった。
切なくも凄絶なその末路が、実は原作者に誘われて観に行った『スネーク・フライト』が元ネタでした、なんてな台無しの暴露話も、ついでにここにしたためておく。
久宇舞弥【人名】
衛宮切嗣の助手。愛人――かどうかは言葉の定義次第である。
幼少期、徹底的に人間性を剥奪されたまま育ったせいで、確立された個人の自我というものを持ち合わせていない舞弥は、自らの全てを衛宮切嗣に帰属するものと認識している。彼女に切嗣を愛しているかと問うのは、内臓に脳を愛しているかと問うのと同義であり、そもそも質問として意味がない。
また切嗣にとっては、妻を聖杯完成のための犠牲にするというのは、誰がなんと言おうとも『妻の愛惜に対する裏切り』であり、その裏切りにおいて躊躇しない自分を必要としていた。彼にとって舞弥との肉体関係は裏切りの予行演習であり、自らを強く保つための一種の自虐行為だったのだろう。浮気の理由としては下の下だが、当の舞弥がそれを良しとしているものだから、もう限りなくネガティブスパイラルである。士郎くんはこんなパパから女性の含蓄を聞いちゃいけません。
魔術の腕前は実際のところ空の境界の鮮化に毛が生えた程度のものなのだが、いかに粗末な道具であろうと致命的な手段として活用できるのがプロの殺し屋をわけで、そういう意味では充分に『危険な魔術』の使い手だった。いざとなれば焼鳥屋の竹串でだって人を殺せるわけですよ。
実は壊滅的な甘党であり、しばしば連れ添いもなく単独でケーキバイキングに現れては、延々と仏頂面のままスイーツを嘆下し続ける謎の女として店員に都市伝説扱いされていたのだが、そんな素顔を当人はひた隠しにしていた。
百の貌のハサン【サーヴァント】
第四次聖杯戦争に参加したアサシンの英霊。歴代のハサン・サッバーハを襲名した『山の翁』の一人。
『ザバーニーヤ』たる肉体改造を行っていない異例のハサンであり、自らが患っていた多重人格障害を逆手にとって活用することで、正体不明の暗殺者として活躍していた。
霊体として召喚され、サーヴァントとして現界する過程で、分断された魂のすべてについて別個の実体化を果たしている。ただし元々の霊的ポテンシャルはあくまで一人分しかないため、分割された個々のアサシンは、能力の点では極めて低く、サーヴァントとして通用する最低レベルの力しか持っていない。
また各々の『別人格』は得手不得手についてもまちまちで、中には功を焦って命令を無視するお馬鹿さんや、アサシンのくせに不意打ちで失敗するダメっ子とかも含まれる。彼らの個性をすべて把握し、適材適所を考えて計画的に運用した場合には絶大な脅威となるサーヴァントだが、そこまで本気で勝ちを狙う意図がマスターになかったせいで、ひたすらピーピング一筋に徹する羽目になる。
まだ遠坂時臣の走狗にすぎなかった頃の言峰綺礼によって召喚され、いわば下僕の下僕という損な役回りに甘んじるしかなかった4thハサンだが、実はちゃんと聖杯を求める秘めたる想いは持ち合わせており(ちなみに悲願は『統合された完璧な人格』)戦いが佳境を越えたら綺礼や時臣を出し抜いて聖杯を横取りする心算ですらあった。が、結局はそんな翻心を露わにする暇すらなく、第4次聖杯戦争における最初の脱落者となる。
藤村大河【人名】
Fate/Zeroにおはるシークレットヒロイン。ある日、クラスメイトの父兄が営む酒屋から極上樽ワインが盗難されたことを契機に、猟奇殺人鬼とか都市ゲリラとか跋扈しまくる夜の冬木を虎竹刀片手に楓爽と駆け抜けつつ、下着泥棒を捕まえたり迷子の子犬を保護したりと八面六臂の大活躍。彼女の奮迅がもたらしたバタフライエフェクトによって大地震が防がれたり海の荒神が鎮守されたり冬木市直撃軌道にあった巨大隕石がどっかに消えたりと、ものすごい勢いで事なきを得たのだが、その辺の壮大なサーガは霊視能力によって行間を読むことでしか判読できないという。
間桐雁夜【人名】
間桐慎二の父、鶴野の弟。
歴代問桐の一族において屈指のガッツと反骨精神を備えた男。あの怪物爺を相手にして、一度は家督の継承を拒み出奔したというだけでも快挙である。とはいえ臓硯からしてみれば、いかに雁夜の魔術回路が長男よりマシなものだったにせよ、自由意志を奪ってまで次代頭首に仕立て上げるほどの手間には釣り合わない程度の素養だった、というのが実際のところであり、その時点では鶴野が妻に孕ませる次代の子供に一発逆転の万馬券を賭けるべし、という判断だったのだろうだが結果、生まれた慎二はあの体たらくで、お爺ちゃんのギャンブルは見事に裏口に出たのである。
幼少期から禅城家と交流を持ち、葵と幼馴染みになったのも、実は臓硯のセッティングである。間桐は遠坂より先に禅城家の優秀な遺伝特質に気付いていたわけだが、雁夜が魔道そのものを嫌悪したことと、横から割り込んだ時臣による葵ラブハート狙い撃ちによって、やっぱり爺の企ては水泡に帰したのであった。
まぁ雁夜としては愛しい葵を蟲蔵に連れ込むなんて断固NGであっただろうし、せめてもう少し間桐の魔術形態がまともなものであったなら、彼も大人しく継承者になって時臣と恋の鞘当てを演じる気になったかもしれない。
しかし俄仕立ての魔術師としては雁夜のマスター適正は大したもので、狂化ランスロットの法外な魔力消費にあそこまで耐え抜いたことは賞賛にすら値する。そもそも臓硯が雁夜への制裁などという余計な遊び心をおこさず、狂化を強要したりしなはれ、ば良かったのに……なんて悔やむにしても、やはりランスロットがギルガメッシュを相手にあそこまで健闘できたのは狂化による能力増幅の賜物だったわけで、おそらく脇目もふらずに時臣に突っかかっていったであろう雁夜には、強豪を避けて勝ち残るなどという思慮を期待するわけにもいかず……結局のところ、恨み節を万事に優先させてしまう間桐スピリットある限り、敗北は必定だったのだろう。
間桐臓硯【人名】
第四次聖杯戦争において間桐が払った犠牲といえば、屋敷の防衛結界を荒らされたのと鶴野さんの手首がなくなったことぐらいなもので、砕けた聖杯の破片を手に入れたことに比べれば安い安い。お爺ちゃん呵々大笑である。
サーヴァント戦そのものは雁夜に対する制裁の意味合いの方が大であり、もし本当に雁夜が勝ち残ったら、それはそれで臓硯としては、彼なりの美学に於いて実に微妙な気分だったかもしれない。雁夜については、逃亡者として日々怯えながら惨めに暮らしているぶんには看過してやるつもりだったのに、彼が間桐イズムにそぐわぬ英雄的自己犠牲を払おうとしたことが、老人の激憤を買ったのであった。「ウチの血筋のくせに生意気な!」という、生きながらに腐った亡者ならではの歪んだプライドがあるのだろう。
ちなみにバーサーカーの暴走によって刻印虫が死滅した時点で、臓硯は雁夜が死亡したものと認識していた。ようやく自由を得た雁夜が間桐邸に戻ってきたのは、臓硯が火事場に何か拾いモノがないものかと出かけていた隙であり、ちょうど行き違いになる形で、雁夜は何の邪魔もされずに桜の元にまで辿り着けたのだった。不幸が絶頂に達したときに妙な案配で幸運を掴むのが雁夜クオリティ、ということか。
間桐鶴野【人名】
我らが麗しのワカメ、間桐慎二の実父。
魔術師としての適正は弟の雁夜に劣っていたものの、雁夜が魔道の継承を断固として拒否して出奔したため、仕方なく彼が間桐の家督を継ぐこととなった。
それが鶴野にとって災難だったかといえばそうでもなく、元から鶴野の素養を諦めきっていた臓硯からは何の教導もされず、せいぜいが助手程度の雑用を任されたに過ぎない。実質的な後継者としての重責はすべて養子の桜に課された。
名目だけの頭首という屈辱も、魔道に対する嫌悪の念も、間桐家の資産と何不自由ない暮らしを手に入れた対価と考えれば悪い取引ではなかった、というのが鶴野の感慨だったのだが、まぁそれでも結局は酒に逃げ込む羽目になるようなストレスに、日々苛まれていたらしい。
四巻において初登場&電撃退場。当初、「切嗣はアイリスフィールを探して間桐邸に行ったけど無駄足でした」という一文だけで済まされていたはずの場面だったのに、「今日はバイオレンスが足りない」という作者の気まぐれスラッシュロードのせいで、本来登場するはずもなかった彼が生贄としてめでたく舞台を踏むことに。ご愁傷様でした。
メルセデス・ベンツ300SL【その他】
切嗣が妻の近代科学啓蒙のために買い与えた玩具。なんか啓蒙にしてはクラシカルなチョイスだが、おそらくアイリスフィールの好みもあったのだろう。切嗣カスタムである以上は機開銃やミサイルや射出式助手席やオイル噴霧器といったオプション装備も期待したいところだが、たぶんない。
第四次戦の後は冬木郊外の森のアインツベルン城に保管され、めでたくイリヤの玩具として継承される。ちなみに日本では石原裕次郎の愛車として有名。
ワルサーWA2000【武装】
衛宮切嗣が聖杯戦争において使用する狙撃銃。
せっかくブルバップ構造にして全長をコンパクトに抑えたにも拘わらず、重量が重すぎて実用性にケチがついたという困った銃。切嗣の場合、さらに出鱈目だ暗視システムをくっつけて益々色々と台無しにしている。第四次聖杯戦争当時の暗視スコープはまだ洗練には程遠く、銃より重くて嵩張る照準器とかザラだったのです。またこの銃は、コスト馬鹿高いという欠点も普及に繋がらなかった原因なのだが、そこはアインツベルンの財力のおかげで無問題。たふんお城に電話線引くよりは安い買い物だったんでしょう。
YAMAHA V‐MAX【その他】
衛宮切嗣が自らのサーヴァント専用の機動手段として用意しておいたオートバイ。人間が乗ることを度外視して出鱈目なチューニングを施してあるため、常人が扱おうにもクラッチを繋いだ時点で処刑装置として機能するだけのことである。舞弥さんはきっと軽トラで搬入し、門から庭に押して運んだんでしょう。ちなみに車種の選定や設定はニトロブラス社長でじたろうによる。
打ち合わせの段階で、当時映画のゴーストライダーを観た直後だった武内氏が「セイバーのバイクも変身したりするといいね!」な、どと発言したばかりに、まぁその、色々と大変なことになる。これ辛いとばかり好き勝手に書き逃げできた筆者は大層楽しかったとさ。