《Summer Pockets》 Short Story~在夏日的绚烂之中~加藤海未(umi)篇

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作品名:

《Summer Pockets》 Short Story~在夏日的绚烂之中~

加藤海未(umi)篇】

作者:

译者:书书[1]

屬於《Summer Pockets》官方網絡上免費發佈的前日談故事:http://key.visualarts.gr.jp/summer/special_ss.html

日本語 中文
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<夏の足跡>


 これは何度目かの夏の物語。
 いくつか試した「夏休み」の1つ。
 積極的に、大胆に、おかーさんに近づいてみた時のこと。
 ため池の近くにいるのを見つけた。
「れいだーーーーん」
「…………」
 何かを叫んでいた。
 どうして良いかわからず、でもその勢いにたじろいでしまう。
 足に小石が当たって、小さくだけど音がした。
「…え? だ、だれ?」
「えっと……」
 もしかしたら、見てはいけないものを見てしまったのかもしれない。
「あ…ああ…あああ…」
 おかーさんの顔が真っ赤になっていく。
 フォ、フォローしなくっちゃ。
「れ、れいだーーーーん!」
 とりあずおかーさんの真似をしてみた。
「ああああああああ」
 おかーさんは走り去ってしまった。
 あっという間に見えなくなってしまうおかーさんの背中。
「うわぁ、やられた…の方が良かったのかな」
 この夏休みは──…ずっとおかーさんに避けられ続けて終わった。
 7月29日はため池に近づかない方が良いみたい。
「……またやり直さないと」
 戻りたいと、逃げたいと強く願う。
 すると微かな耳鳴りの後、視界が──、世界が白く染まっていく。


 そして私は夏休みの始まりに戻ってくる。
 何度も失敗をしたけど、その数だけおかーさんのことが分かっていった。
 おかーさんと楽しい夏休みを過ごすために、仲良くならなきゃいけない。
 いくつも失敗してきたけど、その分おかーさんの行動範囲や対策もわかってきた。
 少しずつだけどおかーさんと仲良く過ごせる夏休みに近づいている。


「行ってきまーす」
 朝ご飯を食べた後、服を着替えて外に遊びに出る。
 おかーさんを探しに。
「えっと、今日は7月25日で、お昼の船でおとーさんが来るだから……」
 おかーさんも港の方にいるから、買うなら今がチャンス。
 私は駄菓子屋さんへ一直線に向かう。
「くーださーいなー」
 いくつかの夏休みを経験して知ったことがある。
 おかーさんは、スイカバーがあれば言うことをきいてくれる。
 だから、駄菓子屋さんのスイカバーを買い占めてみた。
 つまりそれは、おかーさんを買い占めたも同然!
 しばらく駄菓子屋の近くで様子をうかがう。
「はぁ……スイカバー、売り切れてた……」
 肩をがっくりと落としたおかーさんが、足を引きずるようにお店から出てきた。
「そこのおねーさん」
「え? 私? ……って、誰?」
「はじめまして、うみです」
「えっと……はじめまして、鳴瀬しろはです。さようなら」
 やっぱりおかーさんの人見知りはすごい!
「ま、待ってください、少しお話をしませんか?」
「私と?」
「はい」
「……どうして?」
「私、この島に来たばかりで、ここのことよく知らないので、案内してもらえたらと思いまして」
「……他の人に頼む方がいいよ。駄菓子屋に行けば、親切な人がよく来るし」
「でも、ここで出会ったのも何かの縁だと思うんです」
「そういうの、得意じゃないから」
「スイカバー、買い過ぎてしまったので、案内してくれる人と一緒に食べようと思っていたんですが──……」
「島のどんなところに行きたい?」
「え? あ……はい、えっと……」
 どうしよう、予想以上の食いつきで、おかーさんのことが心配になっちゃう……
「別に、スイカバーが欲しくて案内するんじゃないよ? この島の旅行客は“渡りの人”って言って、歓待するのが倣わしなの。だから、スイカバーが貰えるとかそういうのは関係なく、私は案内をしなくちゃいけなくて、それが島民としての責務で、スイカバーの為なんかじゃないんだよ?」  すごい早口だった。
「は、はい。それでは、どうぞ」
「あ……ありがとぅ……どんな所に行ってみたい?」
「鳴瀬さんがいつも行く場所はどこですか?」
「私? 行ってもつまらないよ」
「初めて行く場所なら、どこでもきっと楽しいと思うんです」
「そう? じゃあ、こっち」
 スイカバーを食べながら、海沿いの道を二人で歩く。
 何度も通ったことのある道だけど。
 それでもおかーさんと一緒に、同じ物を食べながら歩くと特別な気持ちになれた。
「うみ……ちゃんでよかった?」
「ひゃえ?! は、はい、うみです!」
「うみちゃんは、この島の子じゃないけど、どこに泊まってるの?」
「か、加藤さんの家でお世話になっています」
「そう……」
「はい」
「…………」
「…………」
 会話が途絶えた。
 2人でスイカバーを食べながら、静かに道を歩く。
 ちらりと、おかーさんの方を見る。
「…………」
 不自然なくらい顔を背けていた。
 でも、おかーさんがそういう人だと言うことは、何度目かの夏でもう知っている。
 だから……押せるだけ押してみることにした。
「あの、鳴瀬さんはぼっちなんですよね」
「え……ど、どうしていきなりそんなことを?」
「実は私もぼっちなんです」
「そう、なの?」
「はい。だからわかるんです、鳴瀬さんから漂うぼっちのオーラが」
「ぼっちのオーラ……」
 おかーさんがショックを受けていた。
 でも、ここで引いたりしない。
「私、今のこの状況を打破したいと思っているんです」
「……打破?」
「はい! なので、この夏休み、一緒に脱ぼっちしませんか?」
 私はまっすぐおかーさんの目を見て言った。
 もっと自分をアピールするんだ。
「…………違う」
「……はい……?」
「あなたからは、ぼっちの気配を感じない……」
「はい?」
「本当のぼっちはそんなに、ぐいぐい来ないし……」
「……え……」
「そんなまっすぐ、人の目を見たりしないし……」
「……ええ……」
「えせぼっち!」
「ええええ! あっ! な、鳴瀬さーーーーん!」
 おかーさんは走って逃げてしまった。
 し、失敗してしまった。
 追いかけようとしたけど……足が動かなかった。
「おかーさん……、私……ずっとひとりぼっちだよ……」
 決して届かない声を零してしまう。
 溶けたスイカバーが、涙みたいに地面に落ちた。
 この夏休みも──……失敗だった。

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 もう何度目かの7月25日の朝。
 私は加藤家の台所に立ってチャーハンを作っていた。
 鏡子さんはいつもカップうどんばかりだから心配。
「うみちゃん、この家に来たばかりなのに、台所の使い方、手際がいいのね」
「え? そうですか?」
「だって調味料を取るとき、一度も間違えなかったから」
「あ……」
 私にとっては、今では慣れた台所でも、鏡子さんから見れば、初めて立つ場所なんだ。
「ぐ、偶然です。私の家の台所とよく似ていたので。たまたまです」
 笑って誤魔化す。
 でも、逆に鏡子さんは少し困った顔をした。
「まだ小学生なのに、家ではご飯とかをうみちゃんが作っているの?」
「は、はい……」
「苦労してるのね……」
 ずっと不思議だった。
 鏡子さんは、私が加藤の家を訪ねたとき、なんの迷いもなく受け入れてくれた。
「聞いているわ」と、一言そう言って。
 いったい、私のことを誰から聞けるんだろう?
 わからないけど……私はもっと誰かを頼っても良いのかもしれない。
「あの、鏡子さん。鳴瀬さん……のことはご存じですか?」
「小鳩さんのことかしら?」
「いえ、その娘さんで」
「……瞳?」
「え? しろはさんじゃないんですか?」
「しろはちゃんは、小鳩さんのお孫さんよ」
 そうだったんだ……、歳の離れた親子だと思っていた。
 少しショックだった。
 何度も夏休みを繰り返していたのに、私はそんなことも知らないでいたんだ……。
 ちっとも、おかーさんに近づいてなんていない。
 知らない事を知る度に、距離を感じてしまう。
 見るからに落ち込んでしまった私の頭を、鏡子さんが優しく撫でてくれた。
「……? どうして頭を、撫でるんですか?」
「うーん、どうしてかな」
 自分がしていることなのに、鏡子さんは首を傾げている。
「よく、私の親友が撫でてくれたんだ」
「そうですか……」
「うん、そうなんだよ」
 にっこりと、鏡子さんが微笑んでくれる。
 大人の女性にこんなふうにしてもらったのは初めてだった。
 なんだか、涙が出てきそうになった……
「それで、しろはちゃんがどうしたの?」
「えっと……仲良く、なりたいと思って」
「そう、じゃあ近いうちに、うちに呼んでみるわ」
「本当ですか?」
「うん。まかせて」
 そっか、何でも1人でやろうとすることが間違っていたんだ。
 もっと他の人に甘えても良かったんだ。
「よろしくお願いします」
 私は、素直にお願いした。
 それから二日後……
「こんにちは」
 夕方、加藤家をおかーさんが訊ねて来た。
「しろはちゃん、いらっしゃい」
「どうも、おじゃまします」
「急に呼んだりして、迷惑じゃなかった?」
「いえ、むしろ歓迎会を、さぼる大義名分ができました。ところで頼みたいことって……なんですか?」
「うん、お料理を教えてほしいの」
「おじゃましました」
 深々と頭を下げて、おかーさんは玄関で回れ右をした。
「あっ、待って、私にじゃないんだよ」
「……? じゃあ、誰ですか?」
「うみちゃん」
 鏡子さんが私を呼ぶ。
 ドキドキしながら、おかーさんの前に進み出た。
「あ、あの……は、初めまして、うみ……です」
 この夏休みでは初対面。
 おかーさんは、不安げな顔を鏡子さんに向けている。
 でも、鏡子さんはニコニコとおかーさんを見ている。
「親戚の子なんだけど、この歳で家でご飯を作っているの」
「そう……苦労してるんだね」
「い、いえ、それほどでも」
「それでね、しろはちゃん料理が上手だから教えてあげてほしいの」
「料理を……教える……」
 おかーさんは少し考え込むと、鏡子さんを見た。
「あの、加藤の呪いは……」
「だ、大丈夫です!」
 何故か加藤家は料理が壊滅的に下手という不可思議な呪い。
 今とは違う夏休みに、鏡子さんの作ったご飯を食べて、酷い目にあった。
「私、ちゃんとおいしいチャーハン作れます!」
 あの料理と一緒にされるのは、鏡子さんには悪いけど心外だ。
「チャーハン、なの?」
「は、はい、得意料理なんです」
「そう、チャーハン、得意なんだ」
 おかーさんの目に、火が灯ったのを私は見逃さない。
 これは仲良くなれるチャンスだと思った。
 いくつか前の夏休みでは、おかーさんとチャーハン対決をした。
 そのおかげで、私のチャーハンはさらなる高みへと登ることができた。
 やっぱり私とおかーさんを繋ぐのは、チャーハンになるんだ。
「では、お手並みを拝見させていただきます」
 おかーさんはキリっとした目で私を見ていた。
「はい!」
 なんだか格好いいBGMでも流れていそうな雰囲気の中、私とおかーさんと鏡子さんは台所に向かう。
 2人が見守る中、私はチャーハンの材料を整えてコンロの前に立つ。
「……フライパン?」
 おかーさんの顔色が変わる。
「この家には中華鍋がないんです。でも、水を弾くくらい熱してから作れば熱量は十分補えます」
「ライデンフロスト現象ね」
 鏡子さんがパンと、手を合わせて説明してくれた。
「はい、そうです」
「……チャーハンに必要なのは?」
「熱量と速度です」
「わかってるなら、問題ないよ」
 おかーさんはゆっくりとしっかりと頷く。
「では……」
 おかーさんの前でチャーハンを作るのは2度目。
「始めます!」
 湯気がでるまで熱したフライパンに油を馴染ませて、溶き卵を「半分だけ」投入。
 そこからは速度だった。
 焦げないように常にフライパンを振り続けて、ご飯と卵を炒める。
 そして仕上げ段階に、残していた「もう半分」の溶き卵を入れる。
「こうすると、卵に油が移りすぎず、卵の風味を残せます」
 あの夏休み、おかーさんから教わった鳴瀬家チャーハン。
 それを再現した。
「…………」
 おかーさんは、驚いた顔で私のチャーハンを見ている。
 少しズルいことをしている気持ちになったけど、おかーさんが私に関心を持ってくれるなら、それを試しておきたかった。
「どうぞ」
 お皿に盛ったチャーハンを、おかーさんに差し出す。
「……いただきます」
 緊張した顔で、おかーさんは私のチャーハンを口にする。
 一噛み……二噛み……しっかりと味わって、飲み込んだ。
 じっと私が見守る中、目を閉じて何かを考えていた。
「どうかしら?」
 鏡子さんが私の代わりに訊いてくれた。
 おかーさんは深く息を吐くと、くるりと私に背中を向けた。
「……あの、な、鳴瀬さん……?」
「100点」
「え?」
「私が教えることは何もないよ」
 肩越しに微笑んでそう言うと、台所から去っていった。
「ひゃく……、てん」
 私のチャーハンが……おかーさんに認められた。
 思わず、涙が零れてしまいそうなくらい嬉しい言葉だった。
「よかったわね、うみちゃん」
 鏡子さんがまた私の頭を撫でてくれた。
「……はいっ……」
 少し喉に詰まるような返事になってしまったけど、それはそれだけ感極まっているということ。
「って、ちーーーがーーーーーうーーーーー!」
 おかーさんと仲良くならなきゃいけないのに!
 料理を教えてもらいながら色々なお話をする作戦のはずなのに!
 免許皆伝しちゃったら意味がないーーーー!
 この夏休みも……結局、おかーさんとの距離は縮まらなかった。

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 カレンダーを見る。
 7月25日。
 もう何度目だろう。覚えていない。
 誰かを頼るということも、形を色々と変えてやってみた。
 駄菓子屋さんで空門さんと一緒にバイトをして、おかーさんを待ち伏せしてみたこともあった。
 空門さんはとても話しやすくて、色々と親身になってくれて楽しかった。
 おかーさんも交えて、話をすることもできたけど、どうしても壁一枚の隔たりをかんじた。
 久島さんと一緒に、冒険をしたこともあった。
 おかーさんも巻き込んで、海賊船探しをやってみた。
 気がついたら、おかーさんはこっそりと家に帰っている。
 結局宝物はみつからず、おかーさんとの仲もうまくいかなかった。
 ヴェンダースさんは……ダメだった。
 一緒に居る水織さんが、学校の先輩で、距離を一気に詰めてくる人で。
 どうしてもおかーさんとの相性が悪かった。
 三谷さんや加納さんは、話にならなかった。
 協力しようと色々してはくれたけど、全てが空回りだった。
「ふむ、しろはと仲良くなりたいのか」
 途方にくれて海を眺めている私に声をかけてくれたのは野村さんだった。
「はい……、その……私に似ているので」
「確かに、言われてみればどことなくしろはの面影があるな」
「いえ、そういうのじゃなくて……え? 似てますか?」
「具体的にどこというわけではないがな」
「そうですか、似てますか」
 そんなことを言われたのは初めてだから、すごく嬉しい。
「しろはの親戚なのか?」
「い、いえ……その、加藤の親戚です」
「そうか、それは失礼した」
「……いえ、気にしないでください」
「ふむ、とりあえずしろはと仲良くなるのに、手を貸そう」
「本当ですか!?」
「こう見えても私は少年団の執行部に所属している。それなりに権限ももっている」
「それは……なんだか頼りになる気がします」
「島の見回りという名目で、しろはと一緒に行動を共にするよう計ろう」
「は、はい! よろしくおねがいします!」
 私は野村さんについて歩く。おかーさんを探すために。
「最近、しろはは行動が変わってきていて、いつも居る場所にいないんだ」
「そうなんですか?」
「まあ、島の風紀の乱れにも関わっているんだがな」
「風紀?」
 よく外で服を脱ぐ三谷さんのことかな?
「鷹原が来てから、よく2人は一緒にいるんだ」
「おと……鷹原さんと一緒に?」
「うむ。鷹原は軽薄な男ではないとは思うが、それでも幼なじみの心境の変化は複雑なものだ」
 おとーさん……いつの間におかーさんと……
「つい先日は脱衣麻雀とか言っていたしな」
「脱衣とな?!」
 おとーさん、乱れてるっ!
「もっとも、それは勘違いだったんだが」
「か、勘違いでしたか……」
 よかった……
「しかし、しろはは随分と変わったよ。人と触れ合うようになった」
「え? 鳴瀬さんが?」
 おかーさんが人と触れ合うように? あんなに人見知りだったのに? ぼっちだったのに?
「お、いたな」
 野村さんが足を止めて、視線の先を指差した。
 港で……おとーさんとおかーさんが船を待っていた。
 2人はどこか緊張した様な顔で、並んでいる。
 デート……なのかな。
 おかーさん、チラチラとおとーさんを見てる。
 あんなおかーさん、見たことない。
 何度も夏休みを繰り返してきたのに……おかーさんとの距離をどうやっても縮められなかったのに。
 なのに──……
「おーい、しろ……」
「ま、待って下さい」
「ん? どうした?」
「待って……下さい……」
 私はおかーさんとおとーさんを見つめる。
 本当なら……あの2人の間に、私がいたかもしれない。
 私に何が足りなかったんだろう。
 どうしておとーさんは……、おかーさんと仲良くなれたんだろう。
「うみ?」
「……はい?」
「どうして泣いているんだ?」
「え?」
 言われて初めて自分が泣いていることに気づいた。
 でも気づいてしまうと、その涙は止められなかった。
「ひっく……っは……っく……」
 手で拭っても拭っても、涙は溢れてくる。
 胸が苦しくて、おかーさんとおとーさんを見ることができない。
「っ……んっ!」
 私は──……港から逃げ出してしまった。

 どれだけ走っただろう。
 どのくらい涙を流しただろう。
 息が切れて、苦しかった胸は痛いくらいにドキドキいっていて。
 いつの間にか靴が脱げていて、足の裏を怪我していた。
 それでも走るのをやめられなくて。
 浜辺の砂地に足を取られて、こけてようやく止まった……
「どうして……どうしてっ……!」
 答えなんて返ってこないのはわかっているのに、口にしてしまう。
「はぁはぁ、まだ小さいのに足が速いんだな」
 野村さんが荒い呼吸を整えながら、私に声をかけてきた。
 追いかけてきてくれたんだ……
「なにか事情がありそうだな」
「鳴瀬さんは……どうして鷹原さんに……あんな風に接することができたんですか」
「……? 鷹原とはきみの方が近しいんじゃないのか? 加藤さんの家で一緒に暮らしているんだろう?」
「一緒に……居るだけです」
「それでも気づくことはないか?」
 わからない……わからないよ……。
「話して楽になるのなら、私でいいのなら聞くぞ。都合が悪いことならすぐに忘れるようにする」
 野村さんが優しく声を掛けてくれる。
「……変な事を……言ってもいいですか?」
「いいぞ」
 私は……ずっと胸に溜めていたことを、私だけしか知らないことを野村さんに話した。
 この時代の人間じゃないこと、何度も夏休みを繰り返していること。
 おかーさんのこと、おとーさんのこと。
 普通なら正気を疑われるようなことだけど。
 それなのに、野村さんは黙って聞いてくれた。
「私はっ……どうしたらいいんですかっ……」
 涙だらけの顔で俯いたまま、弱音ばかりを漏らした。
 全てを聞いてくれた後、野村さんは私の肩に手を優しく乗せて言ってくれた。
「頑張ったんだな」
「~~~っ……」
 それは私が欲しかった言葉じゃないけど、それでも……私を見つけてくれた言葉で。
 だから──……また泣いた。
 声を上げて、涙を拭うことも忘れて、がむしゃらに泣いた。
「うみはきっと目を背けているんだな」
「何から……でしょうか?」
「しろはの前に、向き合うべき相手がいるということだ」
「おかーさんの前に……?」
「君にとって鷹原は、本当に目を背けるような人物だったのか?」
「おとーさんは……ずっと……」
「いくつもの夏を繰り返してきたというのなら、もう気づいているんじゃないか? 鷹原羽依里という人間がどういう者なのか」
「…………」
 気づいている。この時代の夏のおとーさんは、私の知っているおとーさんとは違う。
 たくさん見てきた。
 色々なおとーさんを見てきた。
 そのどれも、真っ直ぐで……誰かの為に動けて……
 その行動には全部ちゃんと意味があって……
 だとしたら……未来の……、私にとっては遠い過去の、あの時代の行動にも意味があったの?
「人を傷つける行為というのは、等しく自分も傷つくものだ。優しい人間ならば尚のことな」
「おとーさんは……そういう人ですか?」
「私も、鷹原という男をそう長く見てきたわけじゃない。だが、その短い時間でも彼の誠実さは感じ取れる」
「そうですか……」
「もっとも、私の言っている事が全て正しいわけではない。あくまで私の主観でしかないのだからな」
「だから……向き合う必要があるんですか?」
「そうだ。それはうみにしかできないことだ」
 私にしか出来ないこと。
 おかーさんが惹かれたおとーさんを、ちゃんと知る事。
 それが、私の望みを……願いを叶えるために必要なこと。
 ずっと逃げていたんだ。
 私は……本当に向き合わなきゃいけないことから、逃げ続けていたんだ。
「……野村さん……、ありがとうございます」
「小さな子の頑張りに、助言ができたのなら私もうれしい」
「あの……でも、私はとんでもないことを野村さんに言ってしまったと思うんですが……」
 未来から来て夏休みを繰り返している。
 そんな非現実的なことを知らされて、野村さんは混乱しないのかな。
「心配するな。さっきも言っただろう、すぐに忘れるようにすると」
 野村さんは私を安心させるように笑ってくれた。
 こういうときに笑えるのも、強さなんだと教えてもらった気がする。
 なら──……うん、私も笑おう。

 ──それからしばらく、おかーさんたちを見ていた。
 プールで泳ぐ練習をしていた。
 どんどんと仲良くなっていく。
 じーじと変な水中相撲もして、自分の思いを貫いた。
 海で溺れるというおかーさんを助ける為に。
 一生懸命、誰かの為に……おかーさんの為にいっぱい頑張った。
 おかーさんのことを大事にしているって、すごく伝わってくる。
 本当のおとーさんは、こういう人なんだ。
 もう知っているはずなのに、知っていたはずなのに目をそらしていた。
 だから──……
「うん、戻ろう」
 いくつもの夏休みは、全て私にとっての足跡だ。
 この夏休みにも確かに残していくものだ。
 振り返りながら、過去へと進む──……
「……?」
 ふと、何かが零れた気がした。
 何かはわからないけど……、それでも進まなきゃいけない。
 微かな耳鳴り……、そして世界が白く染まっていく。  私はまた夏の始まりに帰る。  また夏休みを始める。  歩いた分だけの足跡を残して。  小さな羽ばたきで。

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<夏日的足迹>



 不知道这是第几次暑假了。
 我一直想尝试过过这样的「暑假」。
 我试着积极地、大胆地去和妈妈走得更近。
 我在蓄水池边上找到了妈妈。
「灵弹————!」
「…………」
 她好像在叫喊着什么。
 我有点不知所措,不过着实被妈妈这气场给震慑到了。
 结果脚踢到了石头,发出了点声响。
「…啊? 谁?」
「那个……」
 感觉,我似乎看到了什么不该看到的东西。
「啊…啊啊…啊啊啊…」
 妈妈她满脸通红。
 得,得给她台阶下。
「灵,灵弹————!」
 总之先有样学样吧。
「啊啊啊啊啊啊啊啊啊」
 妈妈跑掉了。
 一转眼就看不到背影了。
「哇,被打中啦……是不是应该这样比较好啊」
 这个暑假……妈妈一直在躲着我,然后就结束了。
 看来7月29号还是不要来蓄水池比较好。
「……又要再来一次了」
 我强烈地许愿,希望逃离这里,回到过去。
 随着轻微的耳鸣,然后眼前——整个世界,都被一片白色浸染。


 然后我又回到了暑假的伊始。
 虽然我失败了很多次,但我也通过这么多次暑假,了解了妈妈。
 为了和妈妈度过一个快乐暑假,我必须和她走得更近,关系更亲密。
 虽然还是失败了很多次,但我也知道妈妈的行动范围和相应的对应方法了。
 尽管离目标还很远,不过我正在一步步地走向能够和妈妈一起开心度过的暑假。


「我出门了」
 我吃过早饭,就换上衣服出门玩了。
 出门去找妈妈。
「那个,今天是7月25号,所以爸爸应该是坐着中午的渡轮过来……」
 然后妈妈那时候也在港口,所以要买就得趁现在。
 我径直走向粗点心店。
「有——人——在——吗——」
 经过这么多次暑假,我知道了一件事。
 那就是,只要帮妈妈买西瓜冰棒,她就肯定会答应别人的请求。
 所以,我就把粗点心店的西瓜冰棒全部买下来了。
 这样就和买下了妈妈一样了!
 然后我待在了粗点心店附近观察情况。
「哈……西瓜冰棒,卖完了啊……」
 妈妈垂头丧气、一步一步地走了出来。
「那位姐姐」
「嗯? 我? ……你,谁?」
「初次见面,我叫海未」
「那个……初次见面,我叫鸣濑白羽,再见」
 果然妈妈真的很怕生啊!
「请,请等一下,能,陪我说说话吗?」
「和我?」
「对」
「……为什么?」
「因为我刚来这个岛,所以不是很清楚这里的情况,希望你能够带我去转转」
「……你去找别人吧。比如去粗点心店,里面有不少很亲切的人啊」
「不过,我们在这里相遇,总感觉是什么缘分啊」
「那种事,我也不擅长啊」
「那个,我买了不少西瓜冰棒,还想着和带路的人一起吃呢……」
「你想去哪里啊?」
「啊? 啊……那个,我想想……」
 怎么办,这比想象的还要顺利,我反而有点担心妈妈了……
「我可不是为了吃西瓜冰才帮你带路的啊? 来到这个岛的游客我们都叫“航渡之人”,欢迎他们是应该的。所以这和西瓜冰没什么关系,这是我作为岛民的义务,必须带着你转,这可不是为了西瓜冰哦?」  她说得特别快。
「啊,好。那么,请」
「啊……谢谢……你想去哪里啊?」
「鸣濑姐姐经常去的地方在哪里啊?」
「我? 去那里也没什么好玩的啊」
「反正都是第一次去,肯定会觉得好玩啊」
「是吗? 那么,走这边」
 我们一边吃着西瓜冰棒,一边走在海边的路上。
 虽然这条路我已经不知道走过多少遍了。
 不过毕竟是和妈妈一起走,还吃着同样的东西,感觉还是挺特别的。
「那个……小海,对吧?」
「啊?! 对,我是这名字!」
「小海不是这里的人吧,那现在住哪里啊?」
「我,我现在借住在加藤家」
「这样……」
「嗯」
「…………」
「…………」
 没话说了。
 我们一边吃着西瓜冰棒,一边走在路上。
 我瞥了一眼妈妈。
「…………」
 她很不自然地别过脸去。
 不过,经过了这么多次暑假,我知道妈妈就是这样的一个人。
 所以……我试着推了妈妈一把。
「那个,鸣濑姐姐好像挺孤独的啊」
「嗯……怎,怎么突然说起这个了?」
「实际上我也是啊」
「是,吗?」
「是啊,所以我才能感受到鸣濑姐姐身上散发出的孤独气场」
「孤独气场……」
 妈妈好像很受打击。
 不过,可不能到此为止。
「我想要打破现在这个状况」
「……打破?」
「对! 所以,暑假要不要一起来脱离孤独的苦海啊?」
 我径直看向妈妈的眼睛说到。
 为了能让妈妈更加清楚我的想法。
「…………不对」
「……啊……?」
「从你身上,我感受不到什么孤独气氛……」
「什么?」
「真正的孤单可不会像你这么积极主动……」
「……啊……」
「也不会像你这样直直地看着别人的眼睛……」
「……这……」
「你个假孤独!」
「啊——! 啊! 鸣,鸣濑姐姐——————!」
 妈妈逃走了。
 我,失败了。
 我虽然想追……可脚动不了。
「妈妈……我……一直都是孤零零的一个人啊……」
 我默默地说出了这句妈妈绝对听不到的话。
 融化的西瓜冰棒,像泪水一样滴在了地上。
 这个暑假……也失败了。

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    已经不知道是第几次的7月25号的早上了。
 我在加藤家的厨房里做着炒饭。
 因为镜子阿姨一直在吃泡乌冬面,所以有点担心她。
「小海啊,你明明刚来不久,不过看来你很熟悉这个厨房啊」
「啊? 是吗?」
「因为我看你从来没有拿错过调料啊」
「啊……」
 虽然这个厨房我已经十分熟悉了,不过,在镜子阿姨眼中,我是第一次站在这里。
「这,这是偶然啦,毕竟这里和我家厨房挺像的,凑巧,凑巧」
 我笑了笑,打了个哈哈。
 不过,镜子阿姨的神情又变得很担心我。
「明明还是个小学生,可家里还要你做饭吗?」
「啊,对……」
「太辛苦了……」
 我一直觉得不可思议。
 我走进加藤家门的时候,她什么都不说就接纳了我。
   她只说过「别人告诉我你要来了」。
 她到底是从谁那里听到了我的事情呢?
 虽然我想不通……或许,我应该去拜托别人吧。
「那个,镜子阿姨。你知道……一个姓鸣濑的人吗?」
「你是说小鸠老伯吗?」
「不是,我是问他的女儿」
「……瞳?」
「啊? 我记得不是叫白羽吗?」
「白羽是他的外孙女啊」
 原来是这样啊……我一直以为他们是年龄差有点大的父女呢。
 有点受打击。
 明明我重复了这么多次暑假,居然连这种事情也不知道……
 我完全没有靠近妈妈哪怕一步。
 每当知道我不知道的事情,我就感觉我和妈妈的关系还是那么疏远。
 镜子阿姨看我垂头丧气,开始抚摸我的脑袋。
「嗯? 为什么要摸我的头呢?」
「嗯……为什么呢」
 虽然是她自己做的,不过她还是歪着头思考了起来。
「应该是因为,我的挚友以前也经常这样摸我的头吧」
「这样吗……」
「嗯,就是这样」
 镜子阿姨满脸微笑。
 我是头一次被成年女性这么对待。
 有点,想哭……
「然后,怎么问起白羽了?」
「那个……我想,和她更亲近点」
「这样,那这几天我把她叫过来」
「真的吗?」
「当然,交给我吧」
 原来如此啊,我以前一直都想着一个人解决,原来这才是问题所在啊。
 原来拜托别人也挺好的。
「麻烦了」
 所以,我也真诚地拜托了镜子阿姨。
 两天后……
「你好」
 妈妈在傍晚来到了加藤家门口。
「白羽,进来吧」
「那么,我打扰了」
「突然叫你,没什么问题吧?」
「没有,倒不如说,反而有了一个不去欢迎会的正经理由。话说,叫我来是有……什么事情啊?」
「嗯,想让你帮忙教教做饭」
「那么打扰了」
 妈妈深深地鞠了一躬,走进大门,右转。
「啊,等一下,不是教我」
「嗯? 那么,教谁?」
「小海」
 镜子阿姨把我叫了出来。
 我内心怦怦地跳,默默走到了妈妈跟前。
「那,那个…初,初次见面,我叫……海未」
 我和妈妈在这个夏天是第一次面对面。
 妈妈她有点不安地看向了镜子阿姨。
 不过,镜子阿姨也笑眯眯地看着妈妈。
「虽然她是亲戚家的孩子,不过现在就在家里做饭了」
「这样……很辛苦啊」
「啊,这,这没什么」
「然后啊,因为她听说白羽你挺会做饭的,所以希望你教教她」
「教她……做饭……」
 妈妈稍微想了一会儿,看向了镜子阿姨。
「那个,加藤家的诅咒……」
「没,没问题的!」
 不知道是什么魔咒,加藤家的人做饭都不可思议的差。
 我在其他暑假试着吃过一次镜子阿姨做的饭,着实遭了不少罪。
「我可以做一顿好吃的炒饭的!」
 把我的炒饭和那种东西算一起,虽然有点对不起镜子阿姨,但我不能接受。
「炒饭,吗?」
「嗯,对,我最会做的就是这个」
「啊,你最会做的就是炒饭啊」
 妈妈的眼睛瞬间明亮了起来,这个细节我自然没有错过。
 看来这次有希望和妈妈走得更近了。
 以前有次暑假,我和妈妈进行了一次炒饭对决。
 多亏了那次对决,我对炒饭的理解更加深刻了。
 看来,能把我和妈妈了联系在一起的,果然还得是炒饭。
「那么,就让我看看你的手艺吧」
 妈妈她满眼放光地看着我。
「好!」
 我、妈妈、镜子阿姨似乎在某种特别帅气的音乐中走向了厨房。
 她们站在旁边,我则是站在炉子前,整理好了做炒饭所需要的材料。
「……平底锅?」
 妈妈的脸瞬间变了颜色。
「因为这家里没有炒锅,不过只要能够把这口锅加热到滴水成珠的程度,那就能够弥补平底锅热量不够的问题了」
「那是莱顿弗罗斯特效应吧」
 镜子阿姨双手合十开始解释。
「对,就是这样」
「……炒饭最需要的是什么?」
「热量和速度」
「你知道这点就没问题了」
 妈妈慢慢地、重重地点了点头。
「那么……」
 这是我第二次在妈妈面前做炒饭了。
「开始!」
 我在平底锅开始冒热气的时候热了油,然后把打了的蛋只放了一半进去。
 然后就是看速度了。
 为了防止烧焦,所以我一直在挥舞着平底锅来炒饭和蛋。
 然后最后,我把剩下的一半蛋液给到了进去。
「这样鸡蛋就不会太油,还能保存蛋的味道」
 那个暑假,妈妈教给我的鸣濑家炒饭的秘诀。
 我把它再现了。
「…………」
 妈妈满脸惊讶地看着我的炒饭。
 虽然我觉得我有点作弊,不过既然妈妈这么关心我,那我得试试那一招。
「请」
 我把盛满了炒饭的碟子给了妈妈。
「……那我开动了」
 妈妈紧张地把炒饭送进了嘴里。
 一口……两口……仔细品尝,细嚼慢咽。
 我看着她一直闭着眼睛,似乎在思考些什么。
「感觉怎么样?」
 镜子阿姨替我询问了一下。
 妈妈深深呼了一口气,然后转身背向我。
「……那个,鸣,鸣濑姐姐……?」
「100分」
「啊?」
「我已经没有东西可以教你了」
 我越过她的肩膀,看着她微笑着走出了厨房。
「100……分」
 我的炒饭……被妈妈认同了。
 那句话,真的差点让我哭出来。
「小海,这挺好的呀」
 镜子阿姨又来抚摸我的头了。
「……嗯……」
 我稍微有点哽咽,不过这正好说明我是多么的感动。
「啊,不ーーー对ーーーーー啊ーーーーー!」
 我本来想要和妈妈更加亲近的啊!
 我明明想要趁妈妈叫我做饭的时候问问其他东西的啊!
 拿到可以出师的许可不就没意义了吗ーーーー!
 到头来……我也没有能够在这个夏天缩小和妈妈的距离。

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 我看了眼日历。

 7月25号。
 我已经不记得是第几次暑假了。
 所谓拜托别人,形式也会多种多样。
 我试着在粗点心店和空门姐姐一起打工,然后等着妈妈过来。
 空门姐姐说话特别和善,能和我说很多很多话,真的帮了大忙。
 虽然我也试着加上妈妈一起来聊天,不过总觉得有一层隔阂。
 我也试着和久岛姐姐一起去冒险。
 我还把妈妈拉上,三个人一起去找海盗船。
 可当我回过神来,妈妈已经偷偷回家了。
 到头来,宝藏没有找到,也没能和妈妈拉近距离。
 文德斯姐姐……也不行。
 她身边的那位水织姐姐,是学校里的学姐,也是个一下子就能拉近和别人距离的人。
 她和妈妈之间的相性一直都不太好。
 至于三谷哥哥和加纳哥哥,那就更没法提了。
 虽然他们帮我了不少,可最后都是白忙活。
「嗯,你想和白羽搞好关系吗」
 我正在海边看着大海发呆,野村姐姐走过来搭话了。
「嗯……因为……她和我有点像」
「确实,你这么一说,总觉得你的脸有点白羽的影子」
「不,我不是说这个……啊? 像吗?」
「虽然我也说不清楚是哪里像」
「这样啊,原来有点像啊」
 因为这是别人第一次这么说,所以我有点开心。
「你是白羽的亲戚吗?」
「啊,不是……我是,加藤家那边的亲戚」
「是吗,那不好意思」
「……没事,这不用在意」
「那么,我就试着帮帮你和白羽搞好关系吧」
「真的吗!?」
「我再怎么样也是少年团执行部的,这点权限还是有的」
「听起来……感觉很值得信赖啊」
「那就用在岛上巡逻的名义,让白羽和你一起行动吧」
「啊,好! 拜托你了!」
 我跟在野村姐姐的后面,去找妈妈。
「最近白羽她有点变了,都不在以前呆的那个地方了」
「真的吗?」
「唉,姑且她也算是在扰乱岛上的风纪吧」
「风纪?」
 她是说的那位经常脱衣服的三谷哥哥吗?
「自从鹰原来了以后,她就经常和他在一起」
「和爸……和鹰原哥哥一起?」
「是啊,我本来还觉得鹰原不是那种轻浮的人啊,看来哪怕从小一起长大的玩伴的心理变化还真的复杂啊」
 爸爸……什么时候和爸爸……
「毕竟他前些日子还说什么脱衣麻将」
「脱衣?!」
 爸爸他太乱来了!
「虽然说到底那只是误会」
「误,误会吗……」
 太好了……
「不过啊,白羽她也变了不少,变得更喜欢和人在一起了」
「啊? 鸣濑姐姐吗?」
 妈妈和人在一起? 明明那么怕生? 明明就是个孤独者啊?
「哦,找到了」
 野村姐姐停了下来,用手指着前方。
 爸爸和妈妈……在港口等船。
 两人都略微紧张地站在那里。
 约会……吗。
 妈妈她偶尔会偷偷瞥向爸爸。
 我从来没见过妈妈这样过。
 明明我重复了这么多次暑假……明明我怎么做都没能和妈妈更进一步。
 明明是这样──……
「喂,白……」
「请,请等一下」
「嗯? 怎么了?」
「请……等一下……」
 我看着爸爸和妈妈。
 毕竟……他们两人中间,我也可能存在过。
 我到底少了什么东西呢。
 为什么爸爸就……可以和妈妈变得这么亲密呢。
「海未?」
「……嗯?」
「为什么哭出来了?」
「啊?」
 听她说出来,我才发现我自己在哭。
 可我一旦注意到,就彻底止不住眼泪了。
「唏……哈……咕……」
 无论用手怎么擦,眼泪都停不下来。
 我现在内心已经痛苦到不能再看着爸爸妈妈了。
「呜……!」
 我──……跑出了港口。

 我到底跑了多远呢。
 我到底留了多少眼泪呢。
 我的心怦怦直跳,已经让我觉得胸中十分痛苦,痛苦到没法呼吸了。
 不知道什么时候,我还把鞋脱了,弄得脚底全是伤。
 哪怕这样我也没有停下。
 我被海边的沙子给绊了一跤,这才停了下来……
「为什么……为什么啊……!」
 虽然我知道这句话不会有回答,可我还是问了出来。
「哈~哈~,你明明还这么小,跑得居然这么快」
 野村姐姐稍微调整了下呼吸,接着问向我。
 她追过来了啊……
「有什么事情吗」
「鸣濑姐姐她……为什么……能够那么对待鹰原哥哥呢」
「嗯? 难道不是你离鹰原更近吗? 你们不是一起住在加藤家的吗?」
「我们……也仅仅是在一起而已」
「哪怕这样也没有注意到什么吗?」
 我不知道……我不知道啊……。
「如果觉得说出来就痛快的话,对我说也行,如果是什么不方便的事情,我也尽可能马上就忘掉的」
 野村姐姐的语气很温柔。
「……我可以……说些奇怪的东西吗?」
「可以啊」
 我……对着野村姐姐,把一直深藏在心中的、只有我知道的东西,一股脑全说出来了。
 比如,我不是这个时代的人;比如,我重复过很多很多次暑假。

还有妈妈,还有爸爸。
 如果是平常肯定早就被人怀疑脑子有问题了。
 然而,野村姐姐还是静静地听着。
「我……到底应该怎么办啊……」
 我满脸泪水地低下头,喃喃自语。
 野村姐姐在听完之后,默默把手放在我肩上,温柔地说到。
「你已经很努力了」
「啊……」
 虽然,这不是我想要的话,可是……这句话,让我找回了自己。
 所以──……我又哭了。
 声音也不压着了,眼泪也忘记擦了,就是嚎啕大哭。
「羽未啊,你肯定是在逃避什么」
「我……逃避什么了?」
「我是想说,在白羽之前,你还有一个需要面对的人啊」
「在妈妈之前……?」
「对你来说,鹰原他就这么得让你一直逃避吗?」
「爸爸他……一直都……」
「既然重复了那么多次夏天,那你也应该注意到什么吧? 鹰原羽依里,他到底是一个什么样的人」
「…………」
 我当然注意到了。

这个时代的夏天的爸爸,和我所知道的爸爸不一样。
 我看到了很多很多。
 我看到了各种各样的爸爸。
 但无论是哪个爸爸……都为了别人而行动……
 所有行动都有相应的意义……
 那么……那个未来的……对我来说是遥远过去的爸爸的那个行为,也有相应的意义吗?
「伤害别人也就是伤害自己,对温厚的人来说更是如此啊」
「爸爸他……是那种人吗?」
「虽然我也和没和鹰原接触太久,但就我来说,尽管时间还不长,可我仍然能够感受到他的那份真诚与实在」
「真的吗……」
「不过说到底,我这些话也不全对,还是基于我的主观评价罢了」
「所以说……我需要好好面对爸爸吗?」
「没错,这点只有羽未你能做到啊」
 这件事只有我能做到。
 彻底了解,能够吸引妈妈的,我的爸爸。
 这也是,为了实现我的心愿……或者说,我的祈愿,所必须要做的事情。
 我一直都在逃避。
 我……一直在逃避和爸爸面对面,坦诚相待。
「……野村姐姐……非常谢谢你」
「能给这么小的孩子有用的建议,姐姐我也高兴啊」
「可是……我还是给野村姐姐说了很不得了的事情……」
 我从未来来到这里,然后重复着这个夏日。
 听了这么非现实的话,野村姐姐会不会有点混乱啊。
「不用担心,我刚才也说过了吧,会尽快忘掉的」
 野村姐姐为了让我安心,笑了出来。
 她这时候能笑出来,说明了她的内心是多么的坚强。
 那么……嗯,我也笑出来吧。

 在那之后,我又在观察爸爸妈妈。
 他们一起在游泳池练习游泳。
 关系越来越好。
 爸爸为了坚定自己的心意,和曾爷爷在海中相扑。
 爸爸为了在海中救上妈妈。
 为了别人,非常拼命……为了妈妈,爸爸非常拼命。
 我也深刻感受到,原来爸爸是这么珍重妈妈。
 原来真正的爸爸是这样的人啊。
 明明我是知道这些的,明明我都知道这些,却还是逃避了。
 所以──……
「嗯,回去吧」
 这数不清的暑假,都是我的足迹。
 这个暑假也是应该值得留念的。
 我一边回想着,一边回到过去──……
「嗯?」
 感觉,有什么东西从我身上脱落了。
 虽然我不知道脱落的是什么……不过我也不能停在这里了。
 随着轻微的耳鸣……世界被一片白色浸染。

    我张开小小的翅膀,又回到了夏季的伊始。

    我再一次走进这个暑假。

    然后,继续走在我走过的足迹上。

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  1. 在此再一次衷心感谢书书先生在百忙之中抽出时间来翻译这些故事!---搬运者记